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カイロプラクティック関連の研究実績
昨年(2001年)の12月9日に、母校である神奈川歯科大学の学会において、カイロプラクティック等の理学療法を併用した顎関節症治療に関する発表をしたところ、学術奨励賞で神奈川歯科大学同窓会より表彰された。近年、顎関節症が増え、その治療に対する関心も高まってきたようだ。今回は、その時のポスター発表について書くことにする。
今回、発表した内容は、ケース・プレゼンテーション的なものではなく、自分が実際に治療した患者のカルテ(任意に50名を抽出した)を統計処理して、カイロプラクティック等の理学療法が顎関節症治療に果たす役割について検討したものである。
そして、その50名分のカルテについて、以下の項目の統計処理を行なった。
@咀嚼筋等、顔面部の筋肉に疼痛がないか?
A下顎の運動障害がないか?
B脊椎に亜脱臼(※歪み)がないか?
その結果、ほとんどすべての患者に程度の差こそあれ、咀嚼筋
等、顔面部の筋肉に疼痛があり、何らかの下顎の運動障害が認められた。そして、ほとんどすべての患者に、頸椎や胸椎等の亜脱臼が認められた。特に、頸椎に関して100%亜脱臼が認められたことは、興味深い結果である。下顎と頸椎の間に、何らかの関連性があるのかもしれない。
<脊椎の亜脱臼部位>
頸椎のみ・・・4%
頸椎と胸椎・・・58%
頸椎と胸椎、腰椎・骨盤・・・38%
その診断結果を受け、以下の手順で実際に顎関節症の治療を行ってみた。
@脊椎矯正(ただし、頸椎の矯正の前に、頸椎の牽引を行なう)をする。
A咀嚼筋等、顔面部の筋肉に、赤外線治療、低周波治療を行う。
B顎関節の矯正を行なう。
Cスプリント(※プラスティック製の馬蹄形の装置)や噛み合わせの調整を行なう。
なお、ほとんどの患者(98%)において、歯ぎしりに対する対策とし
て、夜間のみスプリントを使用した。
以上のように、実際に治療してみたところ、カイロプラクティック等の理学療法が有効であることが判った。スプリントや噛み合わせの調整の前に、カイロプラクティック等の理学療法を併用してみて効果が認められない症例は一例もなかった。顎関節のマニュピュレーションには、パンピングマニュピュレーションという麻酔を併用する術式があるが、麻酔を併用する必要が無くなった。また、筋肉がリラックスした状態でスプリントや噛み合わせの調整を行なうので、それらの治療がスムーズに進み、トラブルが激減した。
少ない臨床例ではあるが、以上より、顎関節症の治療において、カイロプラクティック等の理学療法を併用することの有効性が示唆された。今後、顎関節症治療における理学療法の位置づけを見直し、それらの治療を積極的に採り入れていくべきである。
カイロタイムス第1号(2002年1月1日)より
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