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SDGsに取り組む鬼高の歯科診療所。岡永歯科です。

介護予防と訪問歯科診療home visit

高齢者とかみ合わせ

高齢者がかみ合わせを治す意義
  「寝たきりの老人に入れ歯を入れたら、立って歩いた」と自慢げに言う歯科医によく出合います。ほんとうに、そうなのでしょうか。確かに、介護予防の分野では、入れ歯を入  れることは重要です。そのこと自体を否定するつもりはありません。
 まず、入れ歯を入れることで、食生活が改善します。入れ歯がない状態では、うまく咀嚼したり、嚥下したりできないので、どうしても偏食になりがちです。そのため、栄養の面で問題が生じます。「戦の前の腹ごしらえ」ではないですが、食べる物も満足に食べられない状態では、何をやっても駄目なのです。食生活が改善されれば、体力も回復します。 そして、入れ歯を入れることで、姿勢を改善することができます。咀嚼・嚥下障害の老人を見ていると、マッケンジーで言う0%姿勢(ひどい猫背)の方が実に多いのです。これでは、嚥下もしづらいし、腰にも負担がかかります。この姿勢は、辛いでしょうね。
 また、老人が入れ歯を入れることで顔の表情が変り、老人の社会性が改善します。それにより、老人が意欲的になり、行動も積極的になります。社会性を失った老人は、うつ状 態になり、引きこもりの生活になってしまいます。老人の社会性を回復させることは、介護予防の観点から見ると実に重要なことなのです。
 ここまでお話しすると、もうお解かりのことと思うのですが、入れ歯によって、老人の全身状態が、リハビリを進めていく環境に整えられたのです。このことは、実に重要なことなのです。後は、カイロプラクター、理学療法士、あんま・マッサージ・指圧師などの出番です。@可動性が失われた関節のモビリゼーション、A衰えた筋肉の筋力アップトレーニング、B機能的トレーニング(食べる機能、歩行などの訓練など)と計画的にリハビリを進めていけば良いのです。そうすれば、老人はきっと自立していくと思いますよ。
 最後に念の為にまとめておきますが、寝たきりの老人が、入れ歯を入れたから立って歩けるになったのではありません。立って歩けるようになるのには、その後の計画的なリハビリが大切なのです。しかし、入れ歯を入れずにリハビリだけをしても、決して良い結果にはならないと思います。

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